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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
しかし起きたはいいものの-互いに気まずく、会話をする事など出来ない。
ベッドの上に並んで俯き加減でいれば-沈黙を破ったのは、彼女だった。
「…もしもほんとに嫌だって思っていれば、とっくに抵抗してるし」
何を言われるのか-身構えていただけに、秀王は拍子抜けしてしまった。
確かにそうかもしれないとも思う。
でもそんな気持ちの余裕などないくらいに、怖い思いをさせてたかもしれず。
怒ってはいない-そう映ったのも、実際はただの驕りだったのかもしれない。
「されて嫌だと思うようなひとと…今こんな風にいるわけない。それは先生も…同じじゃないの?」
どんな返答が正解かを考えあぐねていれば、濡れたままだった目尻を拭いながら泉夏が続けてきた。
「先生がもしも私の立場で。先生が私にしたような事、私が先生にしたら…嫌だって思う?」
どきどきしながら尋ねれば。
両眼を見開いている彼の視線にぶつかる。
その驚愕振りに泉夏も固まり-次の瞬間、猛烈な羞恥に襲われる。
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