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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
そんな現状なのに、際どく身体を寄せられれば-いとも簡単に、良からぬ事をしてしまいそうになる。
しないけど-こんな自分だって一応、限度というものぐらいは存在する。
まるで誘(いざな)っているかのような事を何度もされると、決意が揺らいでしまう。
彼女は意識せずにやっている。
だから余計に、手に負えない。
起きていて欲しいと思っていたのも本当。
そして、眠っていてくれればと乞うのも事実だった。
寝ているところは流石にどうこう出来ないから-。
薄暗がりの中、乱れた髪を掻き上げる仕草。
見えそうで見えない、寝乱れた胸元-それは、見てしまってもいいって事?
そうやって無自覚のまま色気を振り撒かれ、今夜何度目かの理不尽な怒りが湧いてくる。
お願いだから、そんなに煽ってこないで-警告の意味も込め、口を塞いでやる。
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