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第13章 相愛の春

『忘れてなんかいない』
『ちゃんと覚えている』

言って欲しいのはそれだけだった。
それだけでいい。
なのに、それすら彼女の口から引き出せない自分。
焦れったくて、堪らない。
多少荒々しくしても。
なんとしてでも。
言わせたくなる。
ほんのさっきまでと比べたら、天と地ほどの差があるのに。
永劫の別れだと思っていた。
もう一度逢えるなんて。
もう一度その声を聞けるなんて。
もう一度その身に触れられるだなんて。
それがどれだけの奇跡か。
それがどれだけの幸せか。