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桜の季節が巡っても
第12章 希求の春
だからどうかお願い。
離れないで。
この手を、私から離さないで-。
祈るような気持ちで、泉夏は秀王を見続ける。
やはり嫌がられている-初めこそ後悔の念に駆られていた秀王だったが、その涙に潤んだ瞳に見つめられているうち、ほんの少しの希望を抱くようになる。
気のせいじゃない?
もしも、自分の気のせいでないのなら-。
躊躇いがちに頬に指先を伝えれば、羞恥に染まりながらも彼女は確かに微笑んだ。
触れられる事を許されている-秀王は心から安堵した。
「いつも、泣かせてばかりだった」
留まる事ない泉夏の涙を拭ってやりながら、秀王は懺悔する。
「辛い思いをずっとさせてきた。俺なんかの為に、本当ならしなくていい思いをずっと。楽しい思い出なんて…きっと何一つ、与えてあげられなかったのに」
今となっては、悔いる事だらけ。
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