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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
左手首に嵌めた腕時計に目をやる。
さっきからもう、何回目?
何度見ても七時に向かい、刻は進んでいる。
何度見ても午前中から待ち続けるひとは-来ない。
もう、六時半。
館内は人もまばら。
そろそろ自分も帰り支度を始めなければ。
彼女は、来ない。
やっぱり、来ない。
社会人席の机の上に広げた本から面を上げようとし-二つ左隣りの席に座る、人影。
こんな時間から?
周りと真逆の行動をしているその人物が気になり、横目でその人が机に置いた本をそっと、盗み見する。
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