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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
『厳密に言うと、料理じゃなくフォーク?』
『フォーク?』
『間接キス?』
片手ハンドルの龍貴は、窓際に煙を吐いた。
『ええ!?』
思ってもみなかった展開に、大声が出た。
『一応訊くけど、そんな事意識してた?』
『…全然』
『だよな』
龍貴は鼻で笑った。
『物欲しそうだったから善意で勧めてあげたけど断られたんで、結局俺が全部食べたけどな』
信号でアウディを停止させた龍貴は、色のある両眼で泉夏を捉えた。
『目の前でちょっとフォークを舐めてやったら釘づけだったよ、伊東君』
『…やり過ぎ』
全く意識していなかったけれど、具体的に述べられると流石に赤面してしまう。
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