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甘い風
第12章 揺れる
「大学時代の同窓生よ」
桜子はそれ以上の関係ではないかのように淡々と語った

「それじゃ、その頃お二人はお付き合いしていたんですか?」
里優が悪気もなく話しを掘り下げてしまう

「フォアローゼスプラチナをお持ちしました」
店員の声に

ケイジは手をあげ
自分の物であると表現する
「それでは、ここにいらっしゃる皆様に、乾杯」
グラスを持ち上げ一口サラリと飲み込んだ

「桜子、昔よりも若くなったんじゃないか?」
ケイジは桜子へ言葉をむける

「どういう意味?」
真っ直ぐにケイジに疑問をなげる桜子

「昔が大人び過ぎてたのかもな」
過去を振り返るケイジ

「ふぅん」
翔は冷静に話しを聞いている

「桜子さんはどんな大学生だったんですか?」
里優が興味津々な顔をしてケイジに尋ねる

「そうだなぁ、いつも肩で風を切って歩いていて、刹那的で排他的、本当は脆くて繊細なのに強がって陰で泣いてた、 だろ?」

彼の言うことはとても的を射ていて何も言葉にできない桜子

翔が空気を変えるように
「まぁ、昔は昔ですからね。今の桜子さんは明るくて笑顔が可愛い女性ですよね、桜子さん」

野沢も援護するようにやや呂律の回らない口で
「快活で素敵な人ですよ」

更に里優は
「お二人はどれくらいお付き合いしていたんですか?」
ケイジの目を見て問う

「二年一緒に暮らしてた。桜子はある日突然家から消えた、理由も言わないまま。それを俺は知りたい。何故出ていったのか」
口角を上げてはいるものの目は哀しみに満ちているケイジ

「昔の話しよ。湿った感じにするならケイジ、帰った方がいいんじゃない?」
ただそれだけが桜子の精一杯の言葉

翔が我慢ができないといった口調で話しはじめる
「真田さんの手から桜子は逃げた。でも、俺は彼女を逃げさせない。あなたと桜子は終わった話しだ。俺は彼女を絶対に幸せにしてみせますから」

突然の告白に
四人の空気が凍りついた

「え?桜子さんの彼氏って翔くんなんですか?」
驚きで目を丸くしている里優

「ん?何?」
野沢も飲んでいた日本酒を吹き出さんばかりに口にした

ケイジは一口飲み
翔に向かって尋ねる
「君、幾つ?」

「俺は18です」
至って真面目に答える翔

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