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アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

「あっ!」
里奈ちゃんのその何か思い出した様な「あっ!」
私のその言葉に暫く考えこんでいた里奈ちゃんだったけれど。
不意に里奈ちゃんの口から飛びだした、
その「あっ!」に私の気持ちは更に沈んでいく。
―――あっ!ばれちゃいました!
そう、その後に言葉に続く言葉を想像して。
きっと、キスしたことを思い出したに違いなくて。
キスしたって事は真くんのこと、本当は好きって事でしょう?
里奈ちゃんの前では泣かないんだ。
真くんとの幸せをちゃんとお祝いしてあげなきゃ。
そして、後で真くんにちゃんと振って貰おう。
私の気持ちは里奈ちゃんには関係無いんだもの―…。
荷物が普段から多めな里奈ちゃんはその茶色のトートバッグの中をさっきからごそごそしていて。
「…里奈ちゃん探し物?」
私がこんな気持ちでいるのは里奈ちゃんのせいなのに、探し物なんて、酷くない?
なんて少しだけ恨めしい気持ちに襲われる。
「あった!」
里奈ちゃんがバックから出したのは救急セットだった。
消毒液を染み込ませたコットンや、抗生剤の軟膏、絆創膏なんかが入っているポーチを取り出して、ニッコリと私に向かって微笑んだ。
私…怪我なんかしてないのに――、なんで?

