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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~
「父上、私は河越の千草を―」
 同じことを言おうとしていた息子を父の言葉が遮った。
「何故、千草を?」
「私と千草は幼いときから片時も離れず、共に育ちました。私以上に私を理解してくれておる者と心得ます」
「されば、執権の妹との婚姻はいかがする?」
 父の声は平坦で、感情は一切感じられない。頼嗣はきっぱりと断じた。
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