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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第33章 浜辺の約束

千草の実家河越家に行くときもあったが、いちばんのお気に入りの場所はここ由比ヶ浜だった。二人がいちばんよく遊んだ懐かしい場所といえば、間違いなくこの浜辺に違いない。
千草はその後、二度と五歳の日の約束を持ち出すことはないままに日は過ぎた。今や頼嗣も千草も十三歳になった。二人ともに結婚適齢期に入っており、現に頼嗣には時の執権経時の妹との縁組が随分前から浮上している。が、頼嗣自身がその話を断り続けているせいで、縁談は遅々として進んではいない。
千草はその後、二度と五歳の日の約束を持ち出すことはないままに日は過ぎた。今や頼嗣も千草も十三歳になった。二人ともに結婚適齢期に入っており、現に頼嗣には時の執権経時の妹との縁組が随分前から浮上している。が、頼嗣自身がその話を断り続けているせいで、縁談は遅々として進んではいない。

