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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜
 あれほど穏やかな月夜であったのが、嘘のような荒れようだ。自分たちが結ばれた夜が滅多にない嵐とは。暗い色に染まった荒れる海は自分の心のようだ。
 憎しみに満ちた自分の心。もう一度、背後を振り返り、楓の安らいだ寝顔を見る。何があっても、この女だけは哀しませたくない、裏切りたくない。
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