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Only you……
第7章 麻都 4

「実はわが社の副社長のポストが、現在空いたままになっているのです。しかし、わが社には同性愛者しか社を継げないというしきたりがありまして」

俺はポケットに手を突っ込んだまま、東と名乗った男の話を聞いていた。

「そこで架上さんを副社長待遇で迎えたいのです」

俺は耳を疑った。

「……高校生ですけど」

そう言ってみる。信じられない。

「承知しております。学校の方は今のまま通えるように手配しますし、大学の方へも進学していただきます」

俺はどう反応してよいのか分からず、口を開け放していた。

「つまりは、佐伯があなたを引き取り、ゆくゆくは社をついで欲しいということです」

おじは隣でにんまりと微笑んでいた。どういう経路でこの人たちと知り合ったのだろうか。不審ではあったが、親戚なんかよりもよっぽど信頼できた。それに唯一の相談相手であるおじが連れてきた人物なのだから。

「いいですよ」

俺は相変わらずポケットに手を突っ込んでいた。

左手をポケットから抜き取ると、スリッパを2人分並べた。

「どうぞ」

「おじゃまー!!!」

佐伯という男は馬鹿みたいに堂々と家の中へと入っていった。



ベッドに横になっているおっさんは、白い顔をしていた。時々死んでいるのではないかと思い、胸に耳を当ててみる。微かにとくんとくんという音が聞こえ、ほっとする。

透真は俺の横で、じっとおっさんを見詰めていた。点滴が終わり、顔色は少し戻っていた。

「……んっ」

おっさんがゆっくりと目を開けた。
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