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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
泉水は、良人のあまりの憤り様に身を縮めた。機嫌を損ねるとは考えていたけれど、まさか、ここまで怒るとは思わなかったのである。以前の泰雅なら、具合が悪いとひと言いえば、それで許してくれたのだ。
一体、何が良人をここまで変えたのだろう。どうして自分たちは、こんな風にすれちがってしまったのだろう。それは何も泉水だけに責任や原因があるわけではない。泰雅もまた、あまりに泉水を深く愛しすぎてしまったゆえでもあった。