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仔猫と狼
第14章 進行

部屋の中は、収録している役者さん以外の控え室兼収録スタッフの機材操作の部屋だった。
こういう部屋は、どこのスタジオでも共通なのだろう。
前に控え室を別にしているスタジオもあるそうだが、そういうスタジオは稀らしい。
私はドアを開ける前に収録しているかを確認し、ドアを開けた。
「おはようございます。遅くなって申し訳ありません。猫の声を担当させていただきます。片岡美鈴です。よろしくお願いします。」
山田さんに教えられていた通りの挨拶をする。
深々と下げた頭は、またもや後から来た結城さんによって撫でられた。
「お疲れ様でーす。前の収録が押しちゃって。遅くなってすみませんね。」
と明るく答える。
まだ、頭の上に結城さんの手が乗っている…。
何も言えず、鳥居さんの姿を探したら、高瀬さんととても顔が近い状態でこちらを見ていた。
そんな状況は一瞬で、高瀬さんはスタスタとこちらに歩いてきて、結城さんの手を愛らしい笑顔ではたき落した。
そして。
「美鈴ちゃん、学校お疲れ様。」
嬉しそうに、私の腰を寄せたのであった。

