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夢のうた~花のように風のように生きて~
第2章 《悲劇の始まり》
その半月後には正式に結納が交わされ、更に数日後、政右衛門が倒れた。そして、かねてからの言いつけどおり、意識のない政右衛門の枕許でお千香と定市の仮祝言が簡素に行われた。
政右衛門は自分に万が一のことがありしときは、定市とお千香の仮祝言を行うことを書状にしたためていたのである。仮祝言の二日後、政右衛門は逝去した。発作を起こして手倒れてから、わずか数日後のことである。されから、お千香の周辺は俄に慌ただしくなった。