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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美

人から見れば、ここまで我が身を犠牲にする彼の努力はおかしいと笑うかも知れない。
どんな女も手に入る美貌も頭脳もあるのに、たったひとり早漏で終えるために最後まで抱けない女のために、こんなにやつれてしまうなんて。
どうして「相性が悪いんだね」で終わらないのかと。
あたしも、ナツを応援してよかったのか悪かったのかよくわからない。ここまでナツを追いつめる気など全くなく、そこまで早漏というのが深刻なものだと思ってもなかったから。
帝王がEDで死にそうになっていたのなら、王子は早漏で死にそうになっている。
帝王はその回復にあたしの助けを求め、ナツはひとり苦心して克服をしようとしている。
似ているようで似ていない、兄弟だ。
健気な努力の子、ナツ――。
彼はそうやって、あたしが眠り続けていた12年間も、人より秀でているとはいえなかった、あのとろくさいハナタレおデブの自分を改変していったのだろうか。
いまだよくわからない"館"とやらにも、彼はこんなになって耐え抜いたというのだろうか。なにを克服しに訪れたのか、さっぱりわからないけれど。
努力して努力して努力して。
……そう、あたしなんかのために。
なんであたしなんだろう。
あたしが"運命"だから?
もしもナツがあたしの運命の相手だとしたら、ナツのそんな努力など必要ないのではないか。運命とは努力の如何なしに実現してしまえるものではないのだろうか。
そうちらりと思えども、ここまでの姿を見せて全力で恋慕してくれるナツにあたしは心揺らいでいる。
それが結果として、"運命"の力のせいなのだとしたら。
ナツはひたすら努力することで、運命を引き寄せたことになる。
――しーし、しーし!!
あの、ハナタレおデブの時代から。

