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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
 想いに耽っていると、人の気配がした。
 散歩に出かけると言って出ていったトンジュが帰ってきたらしい。顔を上げると、物言いたげなトンジュと視線が合った。
「お帰りなさい。ゆっくりとできた?」
「ああ、梅が見頃でね。いつかサヨンにも見せてやりたいと話していたろう? 梅林が見事な場所があるんだよ。今夜はそこまで行ってきたんだ。丁度今が満開だ。月に梅が照らされて、本当にきれいだった。絵心のない俺でも筆を持って描いてみたいと思うほどだ」
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