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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心

「お、お前っ。一体、誰に向かって物を言っているのか判ってるんだろうな」
男は怒りにわなわなと震えている。たかだか一介の民にここまであからさまに罵倒されたのがよほど悔しかったらしい。
「沈(シム)清(チヨン)勇(ヨン)さまの跡取り息子勇(ヨン)民(ミン)だろう? 村娘、若妻、気に入った女がいれば見境なく攫って慰み者にする―、若さまの悪名はここら一帯には轟いているからね。世情に疎い俺だって知ってますよ」
トンジュは平然と弾じた。
男は怒りにわなわなと震えている。たかだか一介の民にここまであからさまに罵倒されたのがよほど悔しかったらしい。
「沈(シム)清(チヨン)勇(ヨン)さまの跡取り息子勇(ヨン)民(ミン)だろう? 村娘、若妻、気に入った女がいれば見境なく攫って慰み者にする―、若さまの悪名はここら一帯には轟いているからね。世情に疎い俺だって知ってますよ」
トンジュは平然と弾じた。

