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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第2章 蓮野に降る雪
満月はいつしか中天に掛かっていた。
屋敷を出たのが夜中前だったことを考えれば、夜もかなり更けた計算になる。
風はおさまるどころか、ますます強くなる一方だった。少し歩いた頃、とうとう吹く風に小雪が混じり始めた。丸い月もいつしか鉛色の分厚い雲に遮られて見えなくなっている。
「畜生、道理で冷えると思ったら、降ってきたようですね」
トンジュは彼にはふさわしくない悪態をつきながら、恨めしげに空を見上げた。
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