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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第23章 第二部・第五話 【冬柿】 冬柿
 でも、あの感覚はけして不愉快なものではなかったし、怖いとも思わなかった。むしろ彼の手で乳房を揉み込まれる度に、何かじわりじわりと身体の奥から滲み出るような気がして、気持ち良かった。栄佐の熱に小紅自身も包まれて、やがて、その先には―。
 そこまで考えて、小紅はふるふると首を振る。私ってば、何を考えているの?
 昼日中から、はしたない。栄佐は今日は早朝から芝居小屋に出かけていて留守だ。帰りは遅くなると言っていたが、小紅は待って一緒に食べるつもりだった。
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