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~散花~
第44章 傷心と浄化

玉蘭がいっきに清酒を飲み干すと、盃を置く前に、朱佳は再び酒を注いできた。
それをちびちび飲み終えるや、さらに注ぎ足されてしまう。
三杯目、四杯目…。
(どうしよう…)
断るタイミングがつかめない。
ようやく加蓮が皇后のもとから戻ってきたとき、玉蘭の手には五杯目の盃があった。
加蓮の姿を見て、朱佳は一礼すると芙蓉のもとへ帰って行った。
「琳夫人さま…少し御酒が過ぎましたか?」
加蓮が心配そうに囁く。
「だい…じょうぶ…よ…」
と答えるわりに、玉蘭の頭は既にくらくらと揺らめいていた。
(気のせいかしら…舌が痺れてきた気がする…)
飲んだ直後より、酔いが回ってきたようだ。
舞台では変面劇が始まり、周囲にひときわ大きな歓声と拍手が沸き起こった。
その盛り上がりに紛れて、玉蘭はひっそりと中座することにした。

