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第32章 　朝見

｢皇后の姿が見えぬようじゃが｣

｢頭痛がひどく、今朝は不参のほどご容赦願いますとの仰せでございました｣

苛立たしげな問いに、芙蓉はたじろぎもせず答える。

玉蘭は感心していた。

このまま、自分の出る幕はなさそうだ。

(そのほうがいい)

軽く上体を傾ける礼をとり顔を伏せたまま、心の中で芙蓉に手を合わせた。