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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
ーー雷雨だった。暴風と大粒の雨が子供部屋の窓を叩いている。縦に細い線が見えた直後、ばりばりばり、と雷鳴が響いた。
桐谷穂乃果《きりたにほのか》は悲鳴を上げ、窓から飛びのいた。それでもまた、おそるおそる近づき、サッシに両手を添えて外を見る。
赤いランプが暗闇を照らし、町の中心に設置されたスピーカーから防災無線とサイレンが鳴り響いた。ぼわんぼわんと音が膨張し、言葉は聞き取れない。穂乃果は耳を塞いだ。
何を言ってるか聞き取れなくても、緊急無線の内容ならわかった。吉田美桜《よしだみお》という女の子の行方《ゆくえ》について、情報提供を呼びかけるものだ。
ーーいい? 絶対にこの家から出ちゃダメよ。
そう言い残し、穂乃果の父と母は美桜を探すため、家を出ていってしまった。
すでに深夜三時をまわっていた。
毛布をかぶり、へそを隠すため着ていたティーシャツをめいっぱい引っ張って、両膝で裾を挟んでいた。
穂乃果は心細さと罪悪感に震えながら、雨粒が降りしきる真っ暗闇を見つめ続けた。
美桜はきっとーー山に行った。それを誰にも伝えられないまま、夜が更けていった。

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