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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山

 誘われたら行かなきゃ。興味がなくても、楽しもうとしなきゃ。家にある野菜でも、好意でくれるなら受け取らないと。学校も、小さな町のコミュニティも、追い出されたら行き場なんてない。

「ドラゴン探しはもうおしまいにしよ。いないんだよ、ドラゴンなんて」

 穂乃果はもう一度否定の言葉を繰り返した。
 美桜のまん丸の瞳が、これ以上ないほどに大きくなった。
 弾かれたように立ち上がり、美桜は両腕を振って叫んだ。

「いるよ! あたし本当に真っ黒なドラゴンを見たの! 炎を吐いて帰り道を教えてくれたの!」
「そんなわけ……」
「嘘じゃない! 嘘じゃない、嘘じゃない……!」

 首を横に何度も振り、机をだんだんと叩く美桜。

「ドラゴン、探してくる……!」
「美桜!」

 美桜は部屋を飛び出した。玄関の引き戸を開ける音と、間髪入れずに勢いよく閉まる音も響いた。
 居間に残された穂乃果は呆然と立ち尽くす。
 天気が崩れそうだった。もしまた夕立が来たら。
 だが、穂乃果は自分が間違ってるとは思っていなかった。ドラゴンなんているわけがない。いないものは探せないし、存在しないのだから、山に何度行ったところで会えるわけがないのだ。

(まさか美桜、山に)

 血の気がすーっと引いていく。
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