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智恵の輪
第1章 同僚の距離
和真は朝から東京にいた。その日は本社で月一の定例会議があった。
彼の勤務先はアルミ製品を扱う専門商社で、国内外から商品を仕入れ、出荷・販売をしていた。埼玉の自社倉庫の現場責任者だった。倉庫といっても業務の大部分は機械化されており、従業員は10人たらずの少数精鋭で、1日200~300件の出荷をこなしていた。
業務上、仕入れ部門とのやり取りはあるが、営業部門との繋がりが強く、月に一度こうして本社に赴いた際も営業部門との会議に時間が割かれていた。
普段は打ち合わせを終え、和真はすぐに帰るのだが、今夜は食事の誘いがあり、その女性とレストランで食事を共にしていた。目の前には営業部カスタマーサービスの智恵がいた。営業部から倉庫へ出荷指示をする担当者で、本社で一番やり取りの多い人物であった。
二人は共に転職組で、智恵の方が二つ年上だったが、社歴では和真の方が長かった。彼女は佐藤智恵、彼は田中和真。社内に同姓が複数いるため、下の名前で呼ぶのが暗黙の慣習となっていた。
彼女が出荷指示を担当するようになった当初、無理を通す姿勢に和真は強引な印象を受けたが、業務上、営業の発言力は強く、現場が折れる形で対応することも多かった。しかし、数年の時が経ち、互いの業務への理解を深め、信頼関係を築き、スムーズに仕事を進められるようになっていた。
智恵は黒髪のボブがよく似合う、端正な顔立ちの女性だった。すっきりとした卵型の輪郭に、黒めの大きな目、細く通った鼻筋、下唇にわずかな厚みのある柔らかな口元、その落ち着いた顔には親しみやすさがあり、視線を向けられると、和真はなぜか目を逸らせなくなった。
彼の勤務先はアルミ製品を扱う専門商社で、国内外から商品を仕入れ、出荷・販売をしていた。埼玉の自社倉庫の現場責任者だった。倉庫といっても業務の大部分は機械化されており、従業員は10人たらずの少数精鋭で、1日200~300件の出荷をこなしていた。
業務上、仕入れ部門とのやり取りはあるが、営業部門との繋がりが強く、月に一度こうして本社に赴いた際も営業部門との会議に時間が割かれていた。
普段は打ち合わせを終え、和真はすぐに帰るのだが、今夜は食事の誘いがあり、その女性とレストランで食事を共にしていた。目の前には営業部カスタマーサービスの智恵がいた。営業部から倉庫へ出荷指示をする担当者で、本社で一番やり取りの多い人物であった。
二人は共に転職組で、智恵の方が二つ年上だったが、社歴では和真の方が長かった。彼女は佐藤智恵、彼は田中和真。社内に同姓が複数いるため、下の名前で呼ぶのが暗黙の慣習となっていた。
彼女が出荷指示を担当するようになった当初、無理を通す姿勢に和真は強引な印象を受けたが、業務上、営業の発言力は強く、現場が折れる形で対応することも多かった。しかし、数年の時が経ち、互いの業務への理解を深め、信頼関係を築き、スムーズに仕事を進められるようになっていた。
智恵は黒髪のボブがよく似合う、端正な顔立ちの女性だった。すっきりとした卵型の輪郭に、黒めの大きな目、細く通った鼻筋、下唇にわずかな厚みのある柔らかな口元、その落ち着いた顔には親しみやすさがあり、視線を向けられると、和真はなぜか目を逸らせなくなった。

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