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智恵の輪
第1章 同僚の距離
「すごく信頼できて…頼りがいのある人なんだって…」

和真の隣では、智恵が彼の手を強く握り、その手を決して離そうとしなかった。

「それは大変でしたね…きっとエンドレスだったでしょう…?」

和真は笑みを浮かべて、舞の苦労を労った。

「智恵…今夜は和真さんにたくさん話を聞いてもらってね…もう私はお腹いっぱいだから…」

舞はそう言うと、丸テーブルから腰を上げた。

「舞…?」

智恵が小さな声で呟いた。

「よかったね、智恵…彼は話し始めたら止まらなくなるって…智恵を理解してくれているんだね…」

舞はトレーを持ち、ソファに座る二人に背を向けた。

「私は片付けがあるから…」

彼女はすぐにカウンターの中に入り、蛇口から水を出し始めていた。

和真は舞の姿を追い、ずっと見つめていた。智恵は一番信頼でき、安心できる古い友人に、和真を紹介したかったのだと気づいた。まるで舞に値踏みをされたような心境だった。

「乾杯しよう…」

隣から智恵の掠れるような声がした。
和真が振り返ると、そこには智恵の大きな目が彼を見つめていた。

二人のグラスがチンッ…とベルに似た音を立てて触れ合っていた。
智恵の視線は、けして和真から外れなかった。
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