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したことない子の恋愛
第1章 一
彼氏と付き合って半年。未だに手も繋いでいない。なのに、何故こうなったのか。
「い、伊織ちゃん、セックス、しない?」
私のアパートの玄関。金曜日の夜。普段通り、晩御飯を食べるだけのデートをしてアパートまで送って貰って、玄関先でサヨナラをする予定だった。普段通りなら。拓哉さんが、玄関に入ってくるまでは。
「えっ……えっと」
フゥ、フゥと耳元で耐えるような吐息をかけられながら、緊張して体を強張らせる。拓哉さんから抱き締められたまま、何と返事をして良いのか混乱して話せない。
勿論、いずれこうなる事は自然な流れであって。
いつこうなっても良いとは思っていた。
でも、期待していても、既に手も握らないまま半年が経って。私に女としての魅力がないんだと自信を失っていた。
だから、こうして抱きしめられたのがマラカスを持って踊り狂う程、嬉しい。
「大事にしたくて。でも、もう、俺、我慢出来ない……」
辛そうな声が聞こえてくると、更に強く抱きしめられ、鼓動が速まる。
「私、したことない……」
口を開くと同時、唇に柔らかい感触が走ると、鼓動は増々高鳴った。
「ん……」
両頬を優しく掌で包みこまれ、キスをされたのだと目を閉じながら理解する。柔らかい。ああ、どうしよう。初キス。柔らかい。嬉しい。拓哉さん。
「っ…………」
何度も触れてくる唇に、息を詰まらせながら、何とか鼻で呼吸する。柔らかいキス。これが、キスなのね。そう思っていると。
「あ……ん……」
ぬるっと熱い舌が口内に侵入してきて、私は目をギュッと閉じた。ぬるぬるしている!!熱い!!いやぁぁぁぁ!!恥ずかしい!!無理!!無理よもう!!恥ずかし地獄!!
「ふ、う……」
腰に回した手に力を込めながら、這わされる舌の動きに自身の舌を合わせて動かす。熱い。舌も、吐息も。そして、何だか、気持ち良い。
「ん、う……」
ぬるぬると舌を這わせ、数分後、チュッと唇をはなすと、拓哉さんはじっとこちらを見ながら話す。
「上がっても良い?」
その質問に、私ははい、と頷いた。

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