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お題小説第8弾「暴走彼氏」
第1章 暴走彼氏
「世界の恵まれない子のために、募金をお願いします!」
「たった数百円で、栄養失調の治療ができます」
「きれいな水、安全な食べ物を、子どもたちに!」
喉をからさんばかりの勢いで、男性がひとり呼びかけている。
帰宅時間の駅
電車の到着とともに、大勢の人が駅舎から吐き出されてくる。
その通り道、ロータリーを背に、
その男性は、ひとり、大声を張り上げ続けていた。
彼の首からは募金箱が吊るされ、
その前にはユニセフのポスターが貼られた掲示板と、
パンフレットを置いたラックがある。
しかし、先程から男性がいくら呼びかけても、
行き交う人はその姿を一瞥することもなく通り過ぎていく。
それもそうだ。
灰色の梅雨空は、
数時間前から結構な雨模様だった。
色とりどりの傘をさした人は、
ゆっくりしていたら濡れてしまうとばかりに家路を急ぐ。
「世界の貧しい子どもたちのために、ご支援を!」
その男性もまた、傘をさしていたが、
雨足が強く、傘の意味はほとんどなかった。
全身、ずぶ濡れに近い。
かけてるメガネにもしぶきが飛んでいて、
前もろくに見えてないのではないかというくらいだった。
「恵まれない子どもたちに、どうか、愛の手を!」
ぽこん!
男性は頭に突然、軽く叩かれたような衝撃を感じ、
そちらに顔を向けた。
そこには、丸めたパンフレットを手にした男性がひとり。
半眼で、じとっとずぶ濡れの男性を見つめていた。
「恵まれてねーのはオメーだ、和也!」
「え…?な、なんで?…翔ちゃん」
「なんで?…じゃねえ!馬鹿か、てめーは!」
もう一度、ぽこんと叩かれた。
「ちょ…やめてよ!人のこと、馬鹿、馬鹿言ってさ!」
「るせーっ!」
とにかく帰るぞ、翔は和也の手をひこうとしたが、
彼は意外なほどの力で、それに抵抗した。
「なんだよ!まだやる気か?」
「だって…翔ちゃん、この場所、
あと1時間使っていいって許可取っちゃってるんだよ?」
その言葉に、翔は額を手で押さえた。
そうだよ、こいつは昔からこうだ。
こういう時は頑なに動きゃしねえ…
翔は和也の意外なほど強い心根を、
よく承知していた。
「分かったよ…んじゃ…
恵まれね~子に、募金お願いしやーす!!」
「え?…なんで?翔ちゃん…」
「たった数百円で、栄養失調の治療ができます」
「きれいな水、安全な食べ物を、子どもたちに!」
喉をからさんばかりの勢いで、男性がひとり呼びかけている。
帰宅時間の駅
電車の到着とともに、大勢の人が駅舎から吐き出されてくる。
その通り道、ロータリーを背に、
その男性は、ひとり、大声を張り上げ続けていた。
彼の首からは募金箱が吊るされ、
その前にはユニセフのポスターが貼られた掲示板と、
パンフレットを置いたラックがある。
しかし、先程から男性がいくら呼びかけても、
行き交う人はその姿を一瞥することもなく通り過ぎていく。
それもそうだ。
灰色の梅雨空は、
数時間前から結構な雨模様だった。
色とりどりの傘をさした人は、
ゆっくりしていたら濡れてしまうとばかりに家路を急ぐ。
「世界の貧しい子どもたちのために、ご支援を!」
その男性もまた、傘をさしていたが、
雨足が強く、傘の意味はほとんどなかった。
全身、ずぶ濡れに近い。
かけてるメガネにもしぶきが飛んでいて、
前もろくに見えてないのではないかというくらいだった。
「恵まれない子どもたちに、どうか、愛の手を!」
ぽこん!
男性は頭に突然、軽く叩かれたような衝撃を感じ、
そちらに顔を向けた。
そこには、丸めたパンフレットを手にした男性がひとり。
半眼で、じとっとずぶ濡れの男性を見つめていた。
「恵まれてねーのはオメーだ、和也!」
「え…?な、なんで?…翔ちゃん」
「なんで?…じゃねえ!馬鹿か、てめーは!」
もう一度、ぽこんと叩かれた。
「ちょ…やめてよ!人のこと、馬鹿、馬鹿言ってさ!」
「るせーっ!」
とにかく帰るぞ、翔は和也の手をひこうとしたが、
彼は意外なほどの力で、それに抵抗した。
「なんだよ!まだやる気か?」
「だって…翔ちゃん、この場所、
あと1時間使っていいって許可取っちゃってるんだよ?」
その言葉に、翔は額を手で押さえた。
そうだよ、こいつは昔からこうだ。
こういう時は頑なに動きゃしねえ…
翔は和也の意外なほど強い心根を、
よく承知していた。
「分かったよ…んじゃ…
恵まれね~子に、募金お願いしやーす!!」
「え?…なんで?翔ちゃん…」

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