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『六月の風はミントの薫り』
第1章 六月の風はミントの薫り…
1
六月の風は、中途半端だった…
暑いのに、まだ夏じゃない…
雨が降りそうなのに、なかなか降らない。
「はぁ…」
夕方の、ラッシュ前のホームで、わたしは小さく息を吐いた…
いや、ため息を吐いてしまった。
ホームの隙間から覗ける、どんよりとした、梅雨特有の曇り空を眺めながら…
『そういえば、今年はカラ梅雨になりそうって天気予報が言っていたなぁ…』
と、そう、ふと、思っていた。
雨降りだろうが、カラ梅雨だろうが、わたしには、このジメっとした、梅雨の湿気のベタつきが嫌いであった…
「それにしても、ムシ暑い…」
今年の夏の猛暑予報も、憂鬱でもあった。
「ふぅ…」
口の中では、さっき食べたミントタブレットの冷たさだけが残っている…
せめて、口だけでもサッパリ、爽やかでいたい――
そんな想いで含んでいるこのミントタブレットの強すぎる清涼感が…
少しだけ、様々な、イヤな気持ちを誤魔化してくれる。
「はぁ……」
そしてわたしは、ホームに立ち、スマホの画面を見る。
「………」
彼、和哉からの、最後のメッセージは三日前…
『今、忙しい、ごめん』
それだけ――
彼、和哉は、一つ年上の大学のサークルの先輩…
だからひと足先に、社会人になった。
だけど、わたし達は、ハッキリと付き合っているわけではない…
でも、もう二年近く前から毎日連絡を取り合っていたし、休日には二人で出かけて…
周囲からは、当然『そういう関係』だとは思われていた…
いや、わたし自身も、そう想い、彼を信じてはいる。
なのに…
肝心な言葉だけがずっと無い――
それをいつも期待して…
落ち込んで…
勝手に憂鬱になって…
自分が何をしているのか、時々分からなくなる――
サーーー…
ホームへ、湿った風が吹き込んできた。
「ん…」
前髪が、ジワリと滲んだ頬へ張りつき、わたしはまたミントタブレットを口へ放り込む。
「少し、食べすぎじゃない?」
不意に、後ろから声がした。
「え……」
わたしは、慌てて後ろを振り向くと…
彼、和哉が立っていた――
似合わない、Yシャツにネクタイ姿…
少し疲れた顔…
でも、見慣れた笑顔。
わたしは、その笑顔にフッと心が緩む…
「え、なんでいるの?」
六月の風は、中途半端だった…
暑いのに、まだ夏じゃない…
雨が降りそうなのに、なかなか降らない。
「はぁ…」
夕方の、ラッシュ前のホームで、わたしは小さく息を吐いた…
いや、ため息を吐いてしまった。
ホームの隙間から覗ける、どんよりとした、梅雨特有の曇り空を眺めながら…
『そういえば、今年はカラ梅雨になりそうって天気予報が言っていたなぁ…』
と、そう、ふと、思っていた。
雨降りだろうが、カラ梅雨だろうが、わたしには、このジメっとした、梅雨の湿気のベタつきが嫌いであった…
「それにしても、ムシ暑い…」
今年の夏の猛暑予報も、憂鬱でもあった。
「ふぅ…」
口の中では、さっき食べたミントタブレットの冷たさだけが残っている…
せめて、口だけでもサッパリ、爽やかでいたい――
そんな想いで含んでいるこのミントタブレットの強すぎる清涼感が…
少しだけ、様々な、イヤな気持ちを誤魔化してくれる。
「はぁ……」
そしてわたしは、ホームに立ち、スマホの画面を見る。
「………」
彼、和哉からの、最後のメッセージは三日前…
『今、忙しい、ごめん』
それだけ――
彼、和哉は、一つ年上の大学のサークルの先輩…
だからひと足先に、社会人になった。
だけど、わたし達は、ハッキリと付き合っているわけではない…
でも、もう二年近く前から毎日連絡を取り合っていたし、休日には二人で出かけて…
周囲からは、当然『そういう関係』だとは思われていた…
いや、わたし自身も、そう想い、彼を信じてはいる。
なのに…
肝心な言葉だけがずっと無い――
それをいつも期待して…
落ち込んで…
勝手に憂鬱になって…
自分が何をしているのか、時々分からなくなる――
サーーー…
ホームへ、湿った風が吹き込んできた。
「ん…」
前髪が、ジワリと滲んだ頬へ張りつき、わたしはまたミントタブレットを口へ放り込む。
「少し、食べすぎじゃない?」
不意に、後ろから声がした。
「え……」
わたしは、慌てて後ろを振り向くと…
彼、和哉が立っていた――
似合わない、Yシャツにネクタイ姿…
少し疲れた顔…
でも、見慣れた笑顔。
わたしは、その笑顔にフッと心が緩む…
「え、なんでいるの?」

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