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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第42章 逃げ切れない平日の甘い攻防~火曜~②
<彩香SIDE>

同日 16時30分 神奈川支店 13階 企画部フロア

自席に戻った彩香は、しばらく机に突っ伏していた。
心臓が激しく鳴り、太ももの内側に残る健治さんの手の感触が離れない。

(……もう無理……会社でこんなこと……健治さん、優しいのに……意地悪すぎる……
好きすぎて、怖い……)

次第に激しい好き避けモードに入っていく彩香は、
ふと隣の森川さん(リーダー)の姿が目に入った。

森川さんが他部署との連携業務で少し困っている様子を見て、彩香は意を決した。

「森川さん……あの、他部署との仕事、手伝いますか?私、時間ありますので……」

森川さんは目を丸くしたが、すぐに嬉しそうに笑った。

「え、本当? 助かる!明日以降も少し続くけど、大丈夫?」

「……大丈夫です。よろしくお願いします」

彩香は少し強張った笑顔で答えた。

心の中では、

(……健治さんから、少しでも離れないと……
今は、距離を置かないと……私、壊れちゃう……)

そう思いながら、好き避けの気持ちがどんどん強くなっていくのを感じていた。



同日 17時40分 神奈川支店 13階 企画部フロア

定時を少し過ぎた頃、彩香は健治さんの姿がまだデスクにあるのを確認すると、
そっと荷物をまとめ、誰にも声をかけずに早めに退勤した。

エレベーターに乗り込み、1階に降りる間も、胸がざわついていた。

(……ごめんなさい、健治さん……今日は、もう顔を見られない……)



<健治 SIDE>

企画部フロアで資料をまとめていた健治さんは、彩香が早めに退勤したことに気づいた。
彩香の後ろ姿を目で追いながら、心の中で小さく呟いた。

(……また好き避けモードか……可愛いな。
逃げても無駄なのに、また逃げるところが……)

口ひげの端を軽く指で撫で、健治さんの唇に満足げで、
どこか愉しそうな笑みが浮かんだ。

(……まあ、いい。逃げても、ちゃんと捕まえてやるからな)

彩香の激しい好き避けと、健治さんの静かな独占欲。

二人の関係は、再び甘く複雑な波を立て始めていた。
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