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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第97章 二十歳の男との悪夢の約束
雄一はそんな妻の痛々しい姿を前に、己の無力さを呪いながらも、ただその震える背中を優しく抱きしめることしかできなかった。二人は応接室の冷たい空気の中で、互いの涙を分かち合うようにしてしばらく身を寄せ合っていた。しかし、いつまでもこうしているわけにはいかない。鬼頭から「もう上がっていい」という事実上の退勤を許可されたとはいえ、荷物や身の回りのものを残したまま帰ることはできず、澪は一度自分のデスクへと戻らなければならなかった。
澪は震える手で、外されたブラウスのボタンを一つずつ留め直し、ずり下がっていたブラジャーやストッキング、下着を痛々しい手つきで整えた。めくれ上がっていたタイトスカートを直し、鏡を見るまでもなく完全に消え去ってしまった口紅の代わりに、激しい口づけの名残で生々しく赤みを帯びた素の色の唇をハンカチでそっと押さえる。衣服を整えても、鬼頭の濁った唾液の味と、直に秘部をいじり回された生々しい感触は、彼女の身体に深く刻み込まれたままだった。
雄一に支えられるようにして応接室を出た澪は、重い足取りでオフィスへと戻った。フロアにはまだ残業をしている社員がまばらに残っており、キーボードを叩く無機質な音や、書類をめくる音が静かに響いていた。二人は周囲に不審がられないよう、必死に平静を装ってそれぞれのデスクへと向かった。
澪の体調を気遣う雄一は、「自分の荷物をロッカーに取ってくるから、ここで少し待っていて」と囁き、フロアの奥にある更衣室のロッカーへと向かった。
澪が一人デスクに残り、震える手で鞄に荷物を詰めようとしたその瞬間、静まり返ったフロアにプルルルル、とビジネスフォンの呼び出し音が鋭く鳴り響いた。
びくりと肩を大きく揺らしながらも、澪はいつも通り受話器を耳に当て応対した。
「……はい、東洋アセットインベストメント、鴫原です……」
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