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愛と犠牲の果て~人妻を堕とす愛人契約~
第109章 生贄のプロローグ ―汚されたルージュ、奈落への署名―
立ち上がり、震える声で強く拒否する澪を、鬼頭は冷たい、威圧的な視線で見下ろした。
「話が違う? 妙な言いがかりをつけないでもらおうか、澪くん。君が勝手に疑似だと思い込んでいただけだろう。私は最初から疑似だなんて一言も言っていない。そして、これもすべて君と交わした愛人契約の一部だ。愛人としての役目なんだよ」
鬼頭は立ち上がり、澪にゆっくりと歩み寄ってその耳元で冷酷に囁いた。
「どうしてもしないと言うなら、別に構わないよ。だがその時は、愛人契約は今この瞬間に破棄させてもらう。当然、君たちへの融資も即座にストップだ。旦那の事業失敗で作った莫大な借金を、今すぐ一括で返済してもらうことになる。そうなれば君たちは家も財産もすべてを差し押さえられ、愛する旦那も、何も知らない4歳の娘も、家族全員で路頭に迷うことになるな。今ある温かい生活が、一瞬にしてすべて消えてなくなるんだ。それとも、私の言う通りに大人しくペンを握るかね?」
「っ……!」
押し寄せるあまりにも非情な現実に、澪の心は粉々に打ち砕かれた。激しい目眩が襲い、視界が涙で歪んでいく。
愛する夫と、何より大切な4歳の娘を守るため。そのために、自分一人がすべての尊厳をドブに捨てるしかない。今ここで拒絶すれば、家族の未来が今夜にでも崩壊してしまう。
(どうして……こんな……)
深い絶望へと引きずり込まれていく温い空気の中で、澪はただ激しく震えるしかなかった。
「どうだ、澪くん。実に細部まで行き届いた、非の打ち所がない完璧な契約書だろう。これでお前がどの男にどれだけ蹂虙されようと、すべては合意の上、法律の保護下で行われる神聖なビジネスになる。これほど素晴らしい道具の磨き方は他にない」
真壁との過酷な週末を前に、さらなる奈落の底を見せつけられた澪は、絶望の涙を瞳に溜めながら、震える手で用意されたペンへと手を伸ばした。
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