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シアター"名画座"で逢いましょう
第14章 許されぬ恋

数回の着信音の後、すぐさま彼がスマホに出てくれた。

- あ、日菜子さん?どうされましたか? -

彼の声に不安が混じっていた。
多分、デートの約束を反古にする連絡だと思ったのかもしれない。

「ごめんなさい…約束の時間に遅れそうなんです」

- なぁ~んだ、そういう事でしたか。全然かまいませんよ。気長に来てくれるのをお待ちしてますから -

『よかった…遅れることを怒ってないみたいだわ』

ホッとするとドッと汗が吹き出てきた。
これでは何のために何度もシャワーを浴びたのか本末転倒であった。

「お客さん、商店街に車を乗り入れる事が出来ないのでここでいいですか?」

「ええ、かまいません。ありがとうございました」

日菜子はタクシーを降りると、商店街を全速力で走った。
例の名画座が視界に入り、駆けて近づいてくる日菜子に気づくと、植え込みの陰に隠れていた朝倉も飛び出してきて、日菜子に向かって駆け出した。

商店街のど真ん中で二人は出会い、人目を気にすることなく抱き合った。

「そんなに慌てなくても良かったのに」

「早く…早くあなたに会いたかったの…遅れてしまってごめんなさい」

「いいんだよ」

人目を気にせずハグするまでは良かったが、さすがに熱い口づけを交わすには抵抗があったので、すぐさま抱擁を解いて二人は距離を取った。
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