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『春のほどけ …戻れない距離』
第1章 「弥生」—はじまりの揺れ
 3

「や、や…よ……い…………」

「……………」

 その、柔らかな唇が触れた瞬間…

 二人の時間が…

 また、つながってしまった―――


 女子高だったから…

 あの青い時代の想いの強さから…

 結ばれるのは、簡単だった。

 わたしは、めいの明るさに惹かれ…

 魅かれ…

 めい以外は、目にも映らなかった。

 そして――――

「ねぇ、弥生、この次のお休みはいつ?」

「え………」

 わたしは、このめいの囁きに…

 このめいの明るい光りに…

 また、再び…

 吸い寄せられ…
 
 魅かれ…

「え…あ……あ、明後日…かな……」

 つながってしまう―――


 ―――それは、久しぶりに、心が融けた時間だった。

「ね、まさか……」
 
「う、うん…」
 わたしは、頷く。

 愛されたのは、夫を亡くして以来…

 もう、心は、凍ってしまったのだと思っていた。

「……うれしい……」
 
 触れてくる唇に、震えてしまう…

「わたしはね……産んでから………
 ダメなの……
 なんか、痛くて………」

 めいの目が濡れ…

 でも、触れてる肌は熱を帯び…

「だから、わたしも、久しぶり…なの………」

「あ、め、めい……」

 もう、わたしは…
 
 寄ってくる唇から、逃げる理由がなくなっていた…

 いや、逆に…

 求めていく自分がいた。

 だけど…

 まだ、隙間は埋まらない―――
 

 
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