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『春のほどけ …戻れない距離』
第1章 「弥生」—はじまりの揺れ
三月「弥生(やよい)」
はっきりしない、でも、確実に動きだす気配…
それは、まだ形にならない変化の始まり…
違和感…
揺れ…
引力…
それらに気づく前の変化―――
「始まってしまっているのに、まだ気づいていない」
それは、始まりと呼ぶには、あまりに曖昧だった…
けれど確かに、何かが、気づかないまま…
ただ、静かに、方向だけを変えていく。
弥生にて
ほどけ始める
記憶ほど
触れぬ距離だけ
なぜか近づく