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2026 人質交換を託された女 (中編)
第1章 引き返せない一線
「ネクタイを外して…こちらに渡せ…」
湿り気を帯びた地下室。
男の低く押し殺した声。
それが空気を撫でるように広がる。
吉村里紗(よしはらりさ)は、ほんのわずか、息を止める。
逃げ場はない――
それだけは、はっきりしていた。
胸の奥でざわめきが走る。
何かが、わずかに抗う。
その揺らぎを抑えこむように、彼女はゆっくりと顎を引いた。
指先が首元へ伸びる。
青いネクタイの結び目に触れる。
その瞬間、ひやりとした感覚が伝わる。
無意識に、喉が小さく上下した。
結び目を解く。
ゆっくりと――
必要以上にゆっくりと。
布が擦れる微かな音。
それが静まり返った空間の中で、
妙に生々しく響く。
湿り気を帯びた地下室。
男の低く押し殺した声。
それが空気を撫でるように広がる。
吉村里紗(よしはらりさ)は、ほんのわずか、息を止める。
逃げ場はない――
それだけは、はっきりしていた。
胸の奥でざわめきが走る。
何かが、わずかに抗う。
その揺らぎを抑えこむように、彼女はゆっくりと顎を引いた。
指先が首元へ伸びる。
青いネクタイの結び目に触れる。
その瞬間、ひやりとした感覚が伝わる。
無意識に、喉が小さく上下した。
結び目を解く。
ゆっくりと――
必要以上にゆっくりと。
布が擦れる微かな音。
それが静まり返った空間の中で、
妙に生々しく響く。

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