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2026 人質交換を託された女 (中編)
第1章 引き返せない一線
***
(この男は村上裕二に間違いない…)
フードを被った男の声を聞いた瞬間――
僅かに覗く目元をみて、篠原澄玲は、そう確信した。
疑いではない。
断定だった。
だが――
その思考を口にすることはできない。
猿ぐつわに塞がれた口。
小さな呻きしか聞こえない。
視線だけが、鉄格子の向こうに向けられる。
(……里紗……)
吉村里紗は、ネクタイを外し、それを男に渡そうとしていた。
だが――
その手は離れない。
指先に力が残っている。
俯いている。
表情が見えない。
それでも伝わる、抗いきれない
何かを受け止めようとする、覚悟。
(この男は村上裕二に間違いない…)
フードを被った男の声を聞いた瞬間――
僅かに覗く目元をみて、篠原澄玲は、そう確信した。
疑いではない。
断定だった。
だが――
その思考を口にすることはできない。
猿ぐつわに塞がれた口。
小さな呻きしか聞こえない。
視線だけが、鉄格子の向こうに向けられる。
(……里紗……)
吉村里紗は、ネクタイを外し、それを男に渡そうとしていた。
だが――
その手は離れない。
指先に力が残っている。
俯いている。
表情が見えない。
それでも伝わる、抗いきれない
何かを受け止めようとする、覚悟。

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