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闇夜を彩るアラベスク
第7章 てんびん座の男
『おや、こんな場所にキャバレーがオープンしたのか』
営業の仕事が上手くまとまったので、上条剛は同僚と祝杯をあげて、ほろ酔い気分で酔いざましを兼ねて夜の街をブラブラと歩いていた。
つい先日までテナントを募集していて空き家だった雑居ビルの一室に『ニューオープン』の看板を掲げてキャバレーが新規参入してきていた。
『どれ、ちょいと覗いてみるか』
酒が呑みたいわけではない。
酒ならば同僚としこたま呑んできた。
彼の興味はニューオープンの店よりも、そこで働くキャバ嬢にあった。
若い頃からやたらと女にモテていて、不思議と女には不自由しなかったが、女の体を知れば知るほど自分にマッチする女などこの世にはいないのではないかと思うようになった。
『さて、この店には俺に見合う女がいるかな?』
ワクワクしながらキャバレーのドアを開けて足を踏み入れた。
「あら、ようこそおいでくださいました」
この店のママさんだろうか…
上質な着物を見事に着こなし「さあさ、こちらの席にお座りくださいな」と手を引く彼女からは男の鼻腔をくすぐるセクシーな香りがしていた。
「気に入った娘がいたら、これからも贔屓にしてやるよ」
そう言いながら手を引くママさんの帯下のプリッとした尻の膨らみを優しく撫でた。
スタイルは申し分なさそうだが、男たちの相手をこなしてきたその女体の尻はやや弾力を失い上条をがっかりさせた。
ママさんがこの程度ならホステスもろくな女を揃えていないに違いない。
早くも上條は、この店がハズレであることにガッカリした。

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