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警察学校拘束体験研修
第4章 水面(みなも)の波紋
「着なさい…」と彩は、みずきに指示をした。

みずきは彩に言われるがまま、素直に白シャツに袖を通し、落ち着いた指の動きでボタンを留めていく。

彩は続いて中から黒いスカートを取り出し、みずきの手に取らせていく。

みずきは何も言わず手にしたスカートに両脚を通していく。その際に、長椅子に置かれていた赤い縄束の1つが、彩の手に握られたことを鏡越しに見つめていた。全開に開けられたロッカーの扉に小さな鏡が付いていた。

みずきはロッカーに入っていた服に身を包むと、彩が言っていた『目指したい姿とは違う』自分と対面することを避け、そっと扉を閉めていた。

「あなたは諦めたんじゃない…あの人を助けたくて…こうすることを選んだの…あなたの潔(いさぎよ)い覚悟に…この縄が引き寄せられていくみたいね…あなたの側に寄り添って…縄の掟を体で知ってほしいそうよ…」

彩はロッカーの扉に両手を添えていたみずきの両手を優しく掴み、片方ずつ後ろに回させていた。

彼女は自分の両手が後ろに回され、組まされると、腕の動きを制限されることを感じ取っていた。とっさに学校の授業で学んだ、『拘束とは行動の自由を奪う行為』という言葉が頭に浮かんでいた。

だが両腕を後ろで組まされ、縄で固く縛られ、結びをキュッと締められていくと、胸までも締め付けられる。自分の身を守るために必要な動きが取れなくなり、ポッカリと穴が開いたような感じだった。
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