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2026 人質交換を託された女 (上巻)
第4章 スマートマウス (1)
布の湿りを確かめるように、男の指がなぞってきていた。猿ぐつわに籠る吐息が、情けなくも甘い色を帯びている。私はそれを止めることができなかった。
逃げ場のないロッカーの中が、私の居場所であり、その指先だけに従う、それが世界の全てだと定義付けしてくるようだった。
拒絶すべき理性が、『男から離れろ』と叫んでいるのに、本能(体)がその熱と、支配を求めて自ら体を傾け、擦り寄ってしまう。
男は私が自ら寄ってくることを確信しているように、指先1つで私の意志を翻弄し続ける。それは私が男の欲望をすべて呑み込んだ時から決まっていた、必然の流れだったかもしれない。
次は体を触られる。たとえ分かっていても、肉体が裏切りを始めてしまった今、私はもうどうすることもできなかった。その裏切りを自覚し、私は「…ン…ンン…」と猿ぐつわから声を漏らし、首を左右に振っていた。
男の指先が鼻を触れ、首筋をなぞり、耳を触り、私の体に触り始めた。それは体を触るぞ…という男からのメッセージだった。そして、しばらく何もなかった。視界を奪われた闇の中で、逃げられない、戦うこともできない状態で、次にどこを触られるのか分からない。体は止まり、固まるという防衛反応を選ぶ。その『受動的な恐怖』が皮肉にも、私の体を最も敏感な状態に変えていく。
逃げ場のないロッカーの中が、私の居場所であり、その指先だけに従う、それが世界の全てだと定義付けしてくるようだった。
拒絶すべき理性が、『男から離れろ』と叫んでいるのに、本能(体)がその熱と、支配を求めて自ら体を傾け、擦り寄ってしまう。
男は私が自ら寄ってくることを確信しているように、指先1つで私の意志を翻弄し続ける。それは私が男の欲望をすべて呑み込んだ時から決まっていた、必然の流れだったかもしれない。
次は体を触られる。たとえ分かっていても、肉体が裏切りを始めてしまった今、私はもうどうすることもできなかった。その裏切りを自覚し、私は「…ン…ンン…」と猿ぐつわから声を漏らし、首を左右に振っていた。
男の指先が鼻を触れ、首筋をなぞり、耳を触り、私の体に触り始めた。それは体を触るぞ…という男からのメッセージだった。そして、しばらく何もなかった。視界を奪われた闇の中で、逃げられない、戦うこともできない状態で、次にどこを触られるのか分からない。体は止まり、固まるという防衛反応を選ぶ。その『受動的な恐怖』が皮肉にも、私の体を最も敏感な状態に変えていく。

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