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2026 人質交換を託された女
第1章 プロローグ
銀行員からの話では、犯人グループはカウンター奥の事務スペースに突入し、男性全員に店舗からの退去を命じた。その直後、窓口と正面出入口のシャッターを閉めている。

女性行員だけが中に閉じ込められてしまった。

利用客の中には腰を抜かし転んだ人がいた。また出口へ慌てて飛び出す他の利用客に押され、怪我をした女性や年配者がいた。そして数人だが過呼吸やショック状態になった人もいた。無理もないことだった。日常の平和は一瞬にして崩れ、パニックに陥ってしまったのだから。

現場に救急車両が到着し、彼らを医療関係者に引き渡し、手当をお願いしていた。

すでに報道各社が現場の規制線外でカメラの準備を始めていた。野次馬もどんどん増えていった。

先輩の捜査員が私に近付き、「ちょっといいか…?」と声を掛けてきた。彼は同じ警察署勤務の大先輩であり、『白髪を染める時間がない』と嘆くほど、捜査に執念を燃やす生粋の刑事だった。

彼は白髪になってしまった前髪を掻き分け、ビルの合間の路地裏に隠れるよう促された。嫌な予感がした。
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