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海に漂う星屑のように
第4章 佐倉陽菜多
陽菜多の肩が震えている。
顔はよく見えないけれども、多分、泣いている。
夜が落ちて、暮れなずむ山下公園。
風がさらに冷たくなってくる。
陽菜多が、ぎゅっとマフラーを握りしめた。
それを見て、俺は、
何かを言ってあげたくて、
それでも何も言うことができなくて、
36年も生きてきたくせに、
俺は目の前で震えている、こいつに
掛ける言葉も見つからなくて・・・。
「・・・え?」
だから俺は、
苦し紛れに、自分のコートを、
陽菜多の肩にかけていた。
「大事な手紙・・・だったんだな」
本当に、こんなことしか言えない。
これじゃあ全然届かない。
こいつの・・・陽菜多の孤独に・・・届きなんてしない。
「おにーさんにはわからないよ」
でも、そんな言葉で壁を作ってほしくなくて、
俺は・・・俺は・・・
心のなかからありったけの言葉をかき集める。
「わ・・・分かるよ」
「分からない・・・っ!」
「分かる」
正確には、『分かりたい』だ。
俺は、お前を『分かりたい』。
でも、どうしたらその言葉を、
こいつの心の奥に届けることができるのか、
俺にはわからなかった。
日が暮れる。
空には星、海にはさざなみ。
チラチラ光る港の明かりが、
暗い海に落ちた星屑のように瞬いていた。
波が時を刻み、
星がキリリと空を奔る。
「じゃあさ、キス・・・してよ」
言われて、俺はまた、息を詰めてしまった。
「ほら、無理しないで、」
振り仰いだ陽菜多。
その言葉が終わる前に俺は、
俺の唇で、陽菜多のそれを塞いでいた。
10秒・・・か、
20秒か
1分だったかもしれない。
唇がゆっくりと離れた。
「あ・・・おに・・・さん」
「初めてだ・・・でも、
唇に、男も女もねーのな」
少し照れ臭くなった俺は、
わざと海の方を見て言った。
「無理・・・しないでいいの・・・に」
陽菜多はそっと人差し指で唇をなぞっていた。
その目からは、さっきと違う涙が流れている。
灯り始めた白銀灯が、その涙を星屑みたいに光らせていた。
顔はよく見えないけれども、多分、泣いている。
夜が落ちて、暮れなずむ山下公園。
風がさらに冷たくなってくる。
陽菜多が、ぎゅっとマフラーを握りしめた。
それを見て、俺は、
何かを言ってあげたくて、
それでも何も言うことができなくて、
36年も生きてきたくせに、
俺は目の前で震えている、こいつに
掛ける言葉も見つからなくて・・・。
「・・・え?」
だから俺は、
苦し紛れに、自分のコートを、
陽菜多の肩にかけていた。
「大事な手紙・・・だったんだな」
本当に、こんなことしか言えない。
これじゃあ全然届かない。
こいつの・・・陽菜多の孤独に・・・届きなんてしない。
「おにーさんにはわからないよ」
でも、そんな言葉で壁を作ってほしくなくて、
俺は・・・俺は・・・
心のなかからありったけの言葉をかき集める。
「わ・・・分かるよ」
「分からない・・・っ!」
「分かる」
正確には、『分かりたい』だ。
俺は、お前を『分かりたい』。
でも、どうしたらその言葉を、
こいつの心の奥に届けることができるのか、
俺にはわからなかった。
日が暮れる。
空には星、海にはさざなみ。
チラチラ光る港の明かりが、
暗い海に落ちた星屑のように瞬いていた。
波が時を刻み、
星がキリリと空を奔る。
「じゃあさ、キス・・・してよ」
言われて、俺はまた、息を詰めてしまった。
「ほら、無理しないで、」
振り仰いだ陽菜多。
その言葉が終わる前に俺は、
俺の唇で、陽菜多のそれを塞いでいた。
10秒・・・か、
20秒か
1分だったかもしれない。
唇がゆっくりと離れた。
「あ・・・おに・・・さん」
「初めてだ・・・でも、
唇に、男も女もねーのな」
少し照れ臭くなった俺は、
わざと海の方を見て言った。
「無理・・・しないでいいの・・・に」
陽菜多はそっと人差し指で唇をなぞっていた。
その目からは、さっきと違う涙が流れている。
灯り始めた白銀灯が、その涙を星屑みたいに光らせていた。

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