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エロ本を拾っただけなのに <女子高生・優香>
第30章 《絶望に垂らされた糸》
断る理由など、どこにもなかった。
それどころか、香代子は目の前に座る聡の顔を改めて見つめ、静かな安堵感を覚えている自分に気づいていた。

(この人は……あの身勝手な夫とは違う。ちゃんと責任を取れる、頼り甲斐のある大人の男だわ……)

娘の交際相手としては異常な年齢差だ。しかし、今の香代子にとって、その「年齢と経済力がもたらす大人の余裕」こそが、何よりもすがりつきたい確かなものだったのだ。

「……優香のこと、本当に、幸せにしてくれるんですか?」

香代子が震える声で絞り出したその言葉は、事実上の「降伏宣言」だった。

「はい。私の命に代えても」

聡が深く頭を下げる。その頭上を見つめながら、香代子は堰を切ったように泣き崩れた。
こうして、2人の交際を最も阻むと思われていた最大の障壁は、聡の圧倒的な包容力と経済力によって、あっけなく取り払われたのだった。
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