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エロ本を拾っただけなのに <女子高生・優香>
第28章 《2本の線》
夜道を無我夢中で走り、たどり着いたのは、やはり905号室だった。

「聡さんっ……!」

ドアが開くや否や、優香は聡の胸に泣き崩れた。
しゃくり上げながら、母にすべてを知られていたこと、激しく罵倒され、もう家には戻れないことを打ち明ける。
その泣きじゃくる声を聞きながら、聡の脳裏で全てのピースが繋がった。

(なるほど……モニターに映っていたあの女は、優香のお母さんだったのか)

見知らぬストーカーではなく、実の母親だったという事実に、聡は心から安堵した。同時に、両親の離婚という重い現実と、母親からの拒絶によって帰る場所を失ってしまった優香の痛々しい姿に、胸が締め付けられる思いだった。

「辛かったね、優香。もう実家には帰らなくていい。これからは、俺が君の家族になる。ずっとここで一緒に暮らそう」
「聡さん……っ、私、もう聡さんしか……うっ……」

優香が聡にすがりつこうとした、その時だった。

「うっ、えづっ……」

突如、胃の奥から強烈な吐き気が込み上げ、優香は口元を押さえてトイレへと駆け込んだ。

「ゲホッ、はぁっ、うぅ……」

便器を抱え込み、苦しそうに肩で息をする優香の背中を、聡は優しく撫でた。背中をさすりながら、聡はふと、ある可能性に思い至った。

「優香……。そういえば、前の生理はいつ来た?」
「え……?」

優香は涙目で振り返った。

「……いつだろう。大学の入学とか、お父さんのこととかで……ずっと不順だったから、気にしてなくて……たぶん、2ヶ月以上、来てない、かも……」

聡の目が、わずかに見開かれた。

「少し待っていて」

聡は深夜営業の薬局へ走り、妊娠検査薬を買ってきた。
震える手でトイレに向かった優香。数分後、戻ってきた彼女の手には、くっきりと「陽性」を示す2本の赤い線が浮かび上がったスティックが握られていた。
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