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夜来香 〜若叔母と甥、禁忌の果て〜(改訂版)
第19章 懺悔

結奈は料理を作る気にもなれず、少し街で時間を潰すと夕暮れを待って居酒屋で食事を済ませた。
気持ち的にはやはり沈んでいた。
だからお酒も飲んだ。

【飲み足らないな…コンビニでもう少し買って帰ろ……】

電車を降りて、コンビニに寄ってマンションへと向かう。
誰か後ろを歩いていることはわかっていた。
その気配は一定の距離を保っているように思えた。
なんだか気持ち悪いと感じて、ペースを上げてみる。
後ろの足音もペースを上げた。

【嘘?…痴漢とかほんとにやめてよね……】

トートバッグに缶ビールが入っている。
最悪これでぶん殴ってやろうかと握りしめた。

その瞬間…

「待ってよ…神埼結奈さん…」

【名前を知ってる?……】

ちょうど街灯もない暗がりだった。
聞き覚えのない声にゾッとして振り向いた。
住宅の灯りにニッカボッカのシルエットが解る。

「誰?……」

「初対面だからわかんないって…」

嗄れた声が近づいてくる。
瞬間的に…ヤバいと直感して振り向き、走り去ろうとした。

「いったぁっ……」

硬い壁にぶつかった感じがしてたじろぐと…そこにも男が立っていた。

「危ないなぁ…」

「おい、逃がすなよ…」

立ちはだかった男に羽交い締めにされ、口を塞がれてしまった。

声をかけてきた男が近づいてくる。
羽交い締めにする男はかなり大きく屈強のようだった。
身を捩ってもびくともしないことに危機感が増していく。

「住宅街だよ…騒がないでよ…今ちゃんと呼び止めた理由教えてやるから…」

【ヤバい、ヤバい、ヤバい……】

自由になるのは脚だけ。
パンプスの踵で男の足を思いきり踏んだ。

「いってぇっ…」

拘束する腕の力が緩んだ。
今だと、その隙に駆け出していく。

「おいっ、逃がすなって言っただろっ…」

「すんません、兄貴…」

そんな声が背後で聞こえる。

「さっさと追えよ…」

その声に路地を曲がる。
必死に逃げた。
マンションはすぐ近くだったが、とにかく走った。 なるべく角を曲がって…息が上がると電柱に凭れかかる。
辺りは静かで、息を整えながら様子を伺う。
誰かが追ってくる気配はなかった。


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