この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夜来香 〜若叔母と甥、禁忌の果て〜(改訂版)
第17章 隠し事
翌週の月曜日から二学期が始まった。
陽翔は始業式とホームルームが終わると美術室に向かった。
文化祭で何を描くかようやく決めていた。
でもそれはこの美術室で描くことはできない。
だから先輩に相談しようと思っていた。
見渡しても先輩の姿はなかった。
どこかほっとしたような、がっかりとしたような気分だった。
【今日は来ないのかな…】
扉の開く音に視線を向けると先輩が入ってきた。
いつも通り、他の部員達に声をかけて回っている。
最後に陽翔の目の前に立ち止まった。
「こんにちは…藤沢くん…文化祭の作品は決まりましたか?……」
本当に普段通りの敬語に苦笑いを浮かべてしまう。 だが、それに合わせなければならない。
「はい…部長…それで相談がありまして…暫く一人で描きたいんです…」
栞は彼の申し出に少し驚いた。
彼の描く私の絵は文化祭には出展しない筈なのだから…。
「部活を休むってことですか?……ちょっと場所を移しましょうか……」
先輩の後について、一緒に美術室を出ていく。
先輩は部長として、誰彼問わず面倒見がいい。
だから先輩が部員を伴い出ていくことはさほど珍しい光景でもなかった。
美術室から遠くない空き教室に入っていった。
机を挟んで向かい合うように腰を下ろしす。
「どうしてですか?…他の部員に観られて恥ずかしいテーマにでもしたのでしょうか?……」
先輩は二人きりだというのに敬語だった。
どうやら学校ではこの調子でいくつもりらしい。
「そうですね…人物画はやっぱりやめました…でも、最終目的のステップに繋げる作品にはしたいと思っています…」
「藤沢くんの言う意味が解りませんね…それで私に相談というのは部活を休ませてほしいということだけですか?……」
「いえ…部長をモチーフにした作品をやっぱり描こうと思って…」
やはり彼の真意は解らない。
とりあえず探りを入れてみる。
「それは時間をかけてということでしたよね?…あの…アトリエは毎日は使えませんよ……」
先輩は恥ずかしそうに頬を染めた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


