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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第20章 視線のその先
あれから十年の月日が経っても、ナツと過ごした時間は記憶に色濃く焼き付いている。
ナツとの睦事は一年以上続き、明確な最後の日については覚えていない。
会う頻度が減って、連絡の回数も少なくなったが、飽きたというわけではない。
会わない時間に何をしていたのかも、以前と比べて話さなくなった。
仕事、友人、プライベートの時間は、お互いが知らぬ場所で積み重なっていき、それらを深く尋ねることもない。
「彼氏できた。裕樹と同い年の男の子。」
突然の報告に驚いたものの、ナツを取られたというような感覚は裕樹にはなかった。
自分と同じように、ナツの色香にあてられたのだろうか。
ナツとの身体の相性が合わなかったら、大変そうだな、と余計なことまで考えた。
それでもナツが幸せになってくれるようにと、祝福のメッセージを送った。
それからしばらくして、裕樹にも恋人ができた。
同じように報告をすると、ナツもまた「幸せになってね。」とメッセージをくれた。
交際相手ができて、普通ならそこで連絡を断つものなのかもしれない。
それでも不思議と、裕樹とナツはそうしなかったし、罪悪感を感じることもなかったからか、数ヶ月に一度他愛のないやり取りをしていた。
それからしばらく経った春先、ナツから届いたメッセージに、またしても裕樹は驚いた。
「久しぶり。突然だけど、九州に帰ることにしたよ。もう東京でやり残したこともないし、彼とも修復不可能だからいいタイミングだと思ってね。」
その文章に、一瞬だけ指先が固まった。
曖昧なまま続いていた二人の関係に、一つ区切りがついた気がした。
「そっか。向こうに行っても元気でね。色々ありがとうね。」
それから少し考えて、もう一通だけナツにメッセージを送った。
「ナツと過ごした時間は、ものすごく刺激的で、多分一生忘れられないと思う。」
淡々と本心を綴ったが、さよならと告げるより、ただ感謝の気持ちを伝えるくらいがちょうど良いと思った。
ホテルから出て、お互いの帰路に向かう時のような調子でナツは東京を後にした。
引き止めようとも、会いにいくこともなかった。
また東京に来ることがあれば、その時に会えれば良い。
そんなふうに考えていたが、以来一度も会うことはなかった。
ナツとの睦事は一年以上続き、明確な最後の日については覚えていない。
会う頻度が減って、連絡の回数も少なくなったが、飽きたというわけではない。
会わない時間に何をしていたのかも、以前と比べて話さなくなった。
仕事、友人、プライベートの時間は、お互いが知らぬ場所で積み重なっていき、それらを深く尋ねることもない。
「彼氏できた。裕樹と同い年の男の子。」
突然の報告に驚いたものの、ナツを取られたというような感覚は裕樹にはなかった。
自分と同じように、ナツの色香にあてられたのだろうか。
ナツとの身体の相性が合わなかったら、大変そうだな、と余計なことまで考えた。
それでもナツが幸せになってくれるようにと、祝福のメッセージを送った。
それからしばらくして、裕樹にも恋人ができた。
同じように報告をすると、ナツもまた「幸せになってね。」とメッセージをくれた。
交際相手ができて、普通ならそこで連絡を断つものなのかもしれない。
それでも不思議と、裕樹とナツはそうしなかったし、罪悪感を感じることもなかったからか、数ヶ月に一度他愛のないやり取りをしていた。
それからしばらく経った春先、ナツから届いたメッセージに、またしても裕樹は驚いた。
「久しぶり。突然だけど、九州に帰ることにしたよ。もう東京でやり残したこともないし、彼とも修復不可能だからいいタイミングだと思ってね。」
その文章に、一瞬だけ指先が固まった。
曖昧なまま続いていた二人の関係に、一つ区切りがついた気がした。
「そっか。向こうに行っても元気でね。色々ありがとうね。」
それから少し考えて、もう一通だけナツにメッセージを送った。
「ナツと過ごした時間は、ものすごく刺激的で、多分一生忘れられないと思う。」
淡々と本心を綴ったが、さよならと告げるより、ただ感謝の気持ちを伝えるくらいがちょうど良いと思った。
ホテルから出て、お互いの帰路に向かう時のような調子でナツは東京を後にした。
引き止めようとも、会いにいくこともなかった。
また東京に来ることがあれば、その時に会えれば良い。
そんなふうに考えていたが、以来一度も会うことはなかった。

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