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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第19章 新しい記号
湯船から少し肩を出すと、濡れた鎖骨を心地良い夜風が撫でていく。
あれから革張りのソファの上でもナツを求めてしまい、汗だくの身体を流そうとベランダの露天風呂に浸っていた。
ここに来てから、どのくらいの時間が経ったのだろう。
窓を開けた時に見えていた海も、湯船に浸かると磨りガラスで見えなくなってしまうのが残念だった。
背中を預けて密着するナツの身体はじわりと熱を帯びているのに、不思議とその温もりが心地良かった。
しっとりとした肩に顎を乗せて、裕樹はゆっくりと息を吐きながら絡め取るように腕を回す。
海は遠くないはずなのに、波の音は聞こえなかった。
鈴虫の鳴き声に、波の音も裕樹が吐く息の音も消されてしまったようだった。
ジリリリンと鳴いている彼らの邪魔をしないようにか、ナツの耳元で囁くように口を開く。
「ねぇ、ナツ……。」
「ん……?」
ナツは裕樹の腕に触れながら、微かに聞こえる声で返事をする。
「俺はさ……今までは相手の反応を見るのが好きだったんだ。気持ち良さそうにしてる声や顔とか、俺が触れて反応してくれるのが嬉しくて、それを見るのが好きだった。」
「でも……ナツと何回も会っていくうちに……。」
ほんの僅かに、ナツを抱きしめている腕に力が籠った。
「気持ち良くする側よりも、される側に期待している自分がいてさ。」
夜風に当てられたナツの肩が少しだけ冷たくて、熱った頬を押し当てるように埋めた。
「俺ってさ……Mになっちゃったのかな……?」
あれから革張りのソファの上でもナツを求めてしまい、汗だくの身体を流そうとベランダの露天風呂に浸っていた。
ここに来てから、どのくらいの時間が経ったのだろう。
窓を開けた時に見えていた海も、湯船に浸かると磨りガラスで見えなくなってしまうのが残念だった。
背中を預けて密着するナツの身体はじわりと熱を帯びているのに、不思議とその温もりが心地良かった。
しっとりとした肩に顎を乗せて、裕樹はゆっくりと息を吐きながら絡め取るように腕を回す。
海は遠くないはずなのに、波の音は聞こえなかった。
鈴虫の鳴き声に、波の音も裕樹が吐く息の音も消されてしまったようだった。
ジリリリンと鳴いている彼らの邪魔をしないようにか、ナツの耳元で囁くように口を開く。
「ねぇ、ナツ……。」
「ん……?」
ナツは裕樹の腕に触れながら、微かに聞こえる声で返事をする。
「俺はさ……今までは相手の反応を見るのが好きだったんだ。気持ち良さそうにしてる声や顔とか、俺が触れて反応してくれるのが嬉しくて、それを見るのが好きだった。」
「でも……ナツと何回も会っていくうちに……。」
ほんの僅かに、ナツを抱きしめている腕に力が籠った。
「気持ち良くする側よりも、される側に期待している自分がいてさ。」
夜風に当てられたナツの肩が少しだけ冷たくて、熱った頬を押し当てるように埋めた。
「俺ってさ……Mになっちゃったのかな……?」

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