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母なる果実
第3章 番外 果実の反芻

『俺も早く会いたいです』
返ってきたその言葉を見た瞬間――
「……!」
声にならない歓喜が胸いっぱいに膨らみ、花が咲き誇ったようにぱあっと満面に顔を綻ばせた。すかさず、控えめににっこり笑った顔のスタンプだけを彼に送り返すと、綻んだ顔を隠すように枕に埋めながら、ベッドに倒れ込んで、脚をぱたぱたと弾けさせた。まるで心の鼓動が、脚を通じて外に飛び出してきたかのように。
「俺も早く会いたいです…早く会いたいです、だって!早く会いたいですぅっ…!」
あまりに心が躍って、上ずった声で同じ言葉を何度も、何度も自分の気持ちと擦り合わせるように反芻する。彼も私と同じ気持ちでいてくれてるんだ――その実感が何より嬉しかったのだ。言葉を繰り返す度に、心がきゅんと温かく包まれていくようだった。
一頻り喜びを爆発させていたが、突然ぴたっと動きが止まる。
「仕事しようっ。」
そう言って、ばっとベッドの上に立ち上がり、天井を見上げながら胸を張って、大袈裟に両の握り拳を高々と掲げた。そして、よしっ、と前に向き直り、何か決心したようにベッドを降りて机へと向かう。
しかし――
数分後、机の前に彼女の姿はなかった。ベッドの上では、枕に顔を埋めながら、うーうーとこもった声を響かせて身体を揺らす、女の姿があるのだった――。
返ってきたその言葉を見た瞬間――
「……!」
声にならない歓喜が胸いっぱいに膨らみ、花が咲き誇ったようにぱあっと満面に顔を綻ばせた。すかさず、控えめににっこり笑った顔のスタンプだけを彼に送り返すと、綻んだ顔を隠すように枕に埋めながら、ベッドに倒れ込んで、脚をぱたぱたと弾けさせた。まるで心の鼓動が、脚を通じて外に飛び出してきたかのように。
「俺も早く会いたいです…早く会いたいです、だって!早く会いたいですぅっ…!」
あまりに心が躍って、上ずった声で同じ言葉を何度も、何度も自分の気持ちと擦り合わせるように反芻する。彼も私と同じ気持ちでいてくれてるんだ――その実感が何より嬉しかったのだ。言葉を繰り返す度に、心がきゅんと温かく包まれていくようだった。
一頻り喜びを爆発させていたが、突然ぴたっと動きが止まる。
「仕事しようっ。」
そう言って、ばっとベッドの上に立ち上がり、天井を見上げながら胸を張って、大袈裟に両の握り拳を高々と掲げた。そして、よしっ、と前に向き直り、何か決心したようにベッドを降りて机へと向かう。
しかし――
数分後、机の前に彼女の姿はなかった。ベッドの上では、枕に顔を埋めながら、うーうーとこもった声を響かせて身体を揺らす、女の姿があるのだった――。

