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火照るあなたの横にある小説
第1章 明かりのむこうに
灯はしゃがみ込み、澪の背中越しにページを覗き込む。
「好きな詩人ですか?」

「ええ。読んでいると、誰かに触れたくなるんです」

その言葉に、灯の胸が淡く疼いた。
ページの中の言葉よりも、彼女の声が深く染み込んでくる。

ふと、澪が顔を上げて、灯を見つめた。
視線が交わる。何かが始まる前の、あの静かな一瞬。

「あなたの声で、読んでもらえませんか」

灯は頷き、ページをめくり、息を吸った。
彼女の声が、澪の耳元にゆっくりと落ちていく。

その夜、詩の言葉はふたりの記憶に、温かく残った。
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